【主張】靖国麻生私案 神社ではなくなる懸念も
【主張】靖国麻生私案 神社ではなくなる懸念も

 麻生太郎外相は靖国神社問題に関する私見を発表した。靖国神社を非宗教法人化したうえで、実質的に国が管理するという提案だ。

 昭和40年代、自民党は今回の麻生氏と同じような「靖国神社法案」を国会に何度も提出した。同法案も宗教法人の靖国神社を解散し、特殊法人として国が管理するというものだった。

 当時は、日本遺族会を中心に、「靖国神社国家護持」の方式が提唱された。靖国神社が国営化されれば、将来にわたって靖国神社の財政が安定するという期待もあった。

 しかし、憲法の政教分離規定との関係をめぐって、内閣法制局と自民党との調整が難航したうえ、「靖国神社が神社でなくなれば、伝統が断絶してしまわないか」「世俗的な施設に堕してしまわないか」といった疑問も提起され、最終的には昭和49年の国会で廃案になった経緯がある。

 麻生私案も、同じような問題を含んでいるように思われる。慰霊は宗教と切っても切れない関係にあり、靖国神社から神道色をすべて取り払ってしまったら、神社ではなくなるのではないかという根幹の疑問だ。

 超党派のグループは、靖国神社と別の場所に無宗教の国立追悼施設をつくることを目指している。麻生氏は「靖国神社に代替施設はあり得ない」としているが、麻生私案も靖国神社自体を無宗教の国立追悼施設に変えてしまうことにならないか、懸念が残る。

 靖国神社の非宗教法人化は自民党の中川秀直政調会長や古賀誠元幹事長らも提唱している。9月の自民党総裁選に向け、靖国問題を争点化しようとする動きには、さらに警戒が必要だ。

 また麻生私案は、慰霊対象について、いわゆる「A級戦犯」分祀(ぶんし)の是非も含めて国会で議論すべきだとしている。直接、靖国神社に「A級戦犯」分祀を求める他の政治家の主張に比べると、民主的なプロセスを踏むように見えるが、それで国論が割れれば、どこの誰が喜ぶだろうか。結果的に「A級戦犯」分祀論につながりかねない。

 そもそも、戦没者の慰霊は日本人の心の問題であり、その象徴的な存在である靖国神社は日本の精神文化でもある。政治や外交の論議を超えた静かな追悼の場であり続けてほしい。

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【2006/08/09 05:00】 | 日本 歴史 伝統 文化 | トラックバック(0) | コメント(1)
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コメント
納得の主張です。
私も麻生さんの案では、かえって、政権が変わるたびに、靖国神社のあり方を変えていいのだ。といっているようなものです。
時代に合わせてころころ主張や存在意義を変えるのは、慰霊施設としての存亡を危うくすると思います。
【2006/08/10 03:40】 URL | 坂本 #-[ 編集]
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