数学で大切なのは情緒、美と感動、自然や神に対してひざまずく心
産経抄

 年末年始に読んだ本の中で『容疑者Xの献身』(東野圭吾著、文芸春秋刊)と『博士の愛した数式』(小川洋子著、新潮社刊)は、思いだすだけで今も目頭が熱くなるような余韻が残っている。

▼ 前者は昨年から書店で平積みが続いている人気ミステリー、後者はまもなく映画化作品が封切られるというので、人気が再燃している。どういう偶然か、話題のベストセラー小説は、ともに主人公が数学者だ。

▼ 数学者といえば、岡潔、ポール・エルデシュ、ジョン・ナッシュなど、天才と称賛されると同時に奇行でも語られる浮世離れした人たちを思い浮かべる。小説の主人公たちも、かたや天才的頭脳を持ちながら見た目のさえない数学教師、もう一方は事故の後遺症で八十分しか記憶がもたぬ老学者。

▼ 彼らの行動についての是非はともかく、その曇りのない一途(いちず)さ、孤高の裏にあるつつましやかな愛が胸にのこった。人気エッセイストで同学の藤原正彦さんがおっしゃるには、数学で大切なのは論理より情緒。文学や芸術と同じく美と感動、さらには自然や神に対してひざまずく心にある。なるほど数学は哲学であった。

▼ 素人向けの数学本でにわか勉強したせいもあって、小説中に引用される近代数学の難題・四色問題のコンピューター証明を「美しくない」と言い放ったエルデシュの挿話やオイラーの等式のシンプルな美しさも琴線に触れた。

▼ 当代人気の二人の作家がともに数学者に目をつけたのは、やはり偶然ではなかろう。数字といえば金銭勘定のことしか連想しないやからが跋扈(ばっこ)するこのごろ、本物の数学と数学者の飾らぬ美しさと品格に思いを致すことには意味がある。少なくとも筆者は、成人の日を迎える若者たちにそう伝えたい。

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【2006/01/09 05:00】 | 教育 学問 | トラックバック(1) | コメント(0)
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「博士の愛した数式」(小川洋子/新潮文庫)
オススメ度:☆☆☆☆★オススメ対象:数学はニガテというあなたへ。オススメポイント:江夏豊ツッコミポイント:博士といっしょに息子の心配をする雷のシーンは心配のための心配 びぶりおふぃりあ【2006/01/09 22:15】
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朝日新聞を読んでいると馬鹿になりますよ。

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