「暴力団員を殺しても無罪」と言ふ法律を作つたら

 仕事柄図書館を利用することが多いが、最近利用者がささいなことで職員にくってかかる光景が気にかかる。地方自治体の窓口でも大声をあげたり、暴力を振るう行為が相次いでいるらしい。

▼ 特に暴力団などが、行政機関や職員に不当な要求を突きつける動きが目立つ。いわゆる「行政対象暴力」だ。平成13年に栃木県鹿沼市の職員、小佐々守さん=当時(57)=が、暴力団関係者に拉致され、殺害された事件をきっかけに、社会的に注目されるようになった。

▼ 事件の背景には、公正な廃棄物行政を進める小佐々さんと、不正を指摘された処理業者との対立があった。多くの職員が、事件の中心人物とみられる処理業者と鹿沼市との長年にわたる癒着を知りながら、見て見ぬふりをしていたことも明らかになった。

▼ 組織が一体とならなければ、行政対象暴力には対処できない。この教訓を果たして、全国の地方自治体は胸に深く刻みつけたのだろうか。埼玉県深谷市に住む夫婦が、生活保護費の不正受給の疑いで逮捕された事件をみれば、はなはだ疑わしい。

▼ 元暴力団員の夫が、職員に怒鳴ったり、ライターや電話の子機を投げつけたりしていたというのに、市はなんの対策もとらなかった。それどころか、6年前から計約2000万円をこの夫婦に支払ってきた。もっとも北海道滝川市の気前のよさにはかなわない。やはり元暴力団員とその妻に、支給してきた生活保護費は計約2億円にも上る。

▼ 「だまされた」と、いずれの市も被害者の立場をとっていることに、納得がいかない。不正に気づいていたはずの職員を、組織として支える覚悟が、市のトップになかっただけのこと。これでは、たった一人で戦った小佐々さんは浮かばれない。

20/07/03 06:00

【産経抄】7月3日

テーマ:産経新聞 - ジャンル:ニュース

【2008/07/03 05:00】 | 事件 犯罪 司法 | トラックバック(0) | コメント(0)
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