7日からの北海道洞爺湖サミット(G8)は日本がホスト国となる5回目のサミットである。そして国際政治にとっても、日本外交にとっても、日本で開催されるこれまでで最も重要なサミットといっても過言ではない。 それは国際政治経済体制が大きな変わり目にあるからである。今の状況はサミットが開始された1970年代中ごろに多少似ているが、事態ははるかに複雑化している。 当時も今も共通するのは世界経済が資源価格の高騰と先進資本主義国の不況に悩まされていることである。さらに圧倒的な国力で世界を引っ張っていたアメリカの力が後退している印象がある点も類似している。 こうした状況に対処するために昭和50年にフランスが呼びかけ、西側先進国が相互の経済政策を調整し、世界経済の難局に当たって一致した姿勢を示すために始められたのがサミットであり、この仕組みが一定の効果を持ったために毎年開催されるようになって、90年代に民主主義市場経済の国になった(と思われた)ロシアを加えて今日のG8サミットとなっているのである。 しかし現在の国際政治経済状況は70年代よりもはるかに複雑になっている。かつては石油輸出国機構(OPEC)など一次産品生産国と先進工業国などの消費国という構図がかなり明確であった。しかも当時は東西冷戦という国際政治の基本構造が存在したために、西側諸国の結束は容易だったし、産油国も共産主義の脅威に対しては西側先進国と手を結ぶ必要性を認識する国が多かった。 ≪モザイク状況への対応≫ 今日では、中国、インドなど新興経済国の経済成長に伴う資源、食糧需要の増大が一次産品高騰の構造的な原因となっている。さらに、西側金融機関が運用するマネーが一次産品相場に流入して価格の変動を大きくしているだけでなく、新興経済国や産油国の政府系ファンドの影響力も増大している。 また、市場経済を重視するアメリカと、地球温暖化対策などから市場に一定の秩序を導入したいヨーロッパ連合(EU)との間では経済観をめぐる摩擦も存在する。現在の世界経済は混沌としたモザイク状況である。 しかし、あえて国際政治の基本構造を見いだそうとするなら、先進国と途上国という2グループの関係がさまざまな問題の根底にあるということは言える。両者の協力が事態の更なる悪化をくいとめる必要条件である。こうした状況を反映して、今回のサミットにはG8諸国とEUという正式参加者だけでなく、中国、インドをはじめとするアジア、ラテン・アメリカ、アフリカなど各国の史上最多の首脳が招待されている。 議題としても環境・地球温暖化対策、開発・アフリカ支援、一次産品価格の高騰やサブプライム問題などの世界経済問題、核不拡散やテロなどの政治問題など、いずれも先進国と途上国の関係がテーマになる問題である。 ≪「何を」より「どのように」≫ ただ、洞爺湖サミットでこれら諸問題に劇的な解決策が示されるとは期待しない方がよい。すでにサミットに向けた多数の準備会合や関連したテーマに関する国際会合、たとえば5月末に横浜で開催されたアフリカ開発に関する会合(第4回TICAD)などで具体策は詰められており、サミットの場で期待できる具体的成果はこれらの会合の延長線上を大きく超えるものとはならないであろう。 だからといって首脳会合に意味がない訳ではない。サミットという場は、実際に世界の主だった国の首脳が集まることによって、世界がどのように運営されているかを目に見える形で世界に示すという政治効果をもっているのである。「何を決めるか」よりも「どのように決めるか」の方に意義があると言ってもよいだろう。 その点で今回の首脳会合で日本外交にとって重要なのは、安易なG8拡大論を回避し、まずG8としての結束を示すことである。もちろん、将来は中国、インドなどにも責任ある大国として行動してもらわねば困る。将来に向けた枠組みとして、たとえばブッシュ政権が地球温暖化対策として打ち出しサミット最終日に声明を出す予定の、先進国、主要途上国からなる主要経済国会合(MEM)のような枠組みを育てていくことを考えるべきである。こういった二枚腰の姿勢が現時点では世界にとって効果的なあり方であり、そうした構想でサミットをまとめることが日本の利益にもかなうのである。(なかにし ひろし=京都大学大学院教授) 20/07/02 05:47 【正論】中西寛 結束のパフォーマンス問われる ![]() |
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| 産経新聞を読みましょう |
朝日新聞を読んでいると馬鹿になりますよ。
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