≪早過ぎても小刻みでも≫ 防衛省・自衛隊を巡る一連の不祥事は、組織の根幹にかかわる問題であるとの認識から、昨年11月16日、官邸に防衛省改革会議(座長・南直哉東京電力顧問)を立ち上げ会議を重ねてきた。 一方、当事者の防衛省では、問題の抜本的解決には組織の改編が必要と考え、石破防衛相自ら改革案の作成を陣頭指揮した。省組織の改編案は、5月21日の防衛省改革会議に提出された。 これに先立って自民党は党の安全保障調査会に防衛省改革小委員会(浜田靖一委員長)を設け、防衛省改革の「あるべき姿」を提言(4月24日)した。 防衛省(現場サイド)と自民党(政治サイド)の提言が出そろったことから、防衛省改革会議(行政サイド)はこれらも参考にして、行政的に受け入れ得る「改革の方向」を7月中にも決める。 防衛省が「たたき台」として提出した中間報告は、石破防衛相の積年の思いが色濃く出たもので、「政治主導」を発揮するための2点が基本にある。 第1は、現行組織では内局と統陸海空の各幕とで重複する業務が多く権限と責任が不明確であるから、努めて二重構造を排除すること。また、限られた人員・予算を3自衛隊に縦割りで配分してきた部分最適化の傾向を排し、政治主導で一元的に最重要分野に資源を投入して全体最適化を図り得るようにすること。 第2は、省内における背広組(内部部局)と制服組(各幕)とを混合し、権限を大臣に集約して「政治主導」の体制を確立し、背広組の官僚主義と制服組の教条主義を排除すること−という。 ≪「政治主導」を貫くには≫ 現行制度では、防衛参事官は背広組から選ばれ「基本的方針の策定について防衛大臣を補佐する(省設置法第7条)」としており、その参事官で構成される参事官会議(各幕僚長も列席)が大臣を補佐する。また同法第12条でも官房長と局長(背広組)の優位性を規定している。 これは基本的方針の策定について、法律の条文の中で制服組を排除しておくことによって「文民統制」を担保しようとしたのだが、制服組に心理的な不満が沈殿してきたことも事実である。 中間報告では、(1)大臣を補佐する背広組主導の「防衛参事官」制度を廃止(2)政治任用の「大臣補佐官」(政治組)を創設(3)大臣を補佐するため、政治組・背広組・制服組の3者が議論・検討する仕組みとしての「防衛会議」の位置づけを明確にして活用(4)中央組織を背広組・制服組混合の「部隊運用」「防衛力整備」「政策企画立案・発信(広報)」からなる機能別の3部門に集約(5)訓練など各自衛隊の隊務運営機能を担当する組織については3案併記−とされている。 ≪具体的な問題点は≫ 問題は防衛省全体の抜本的な改革であるべきだが、理念先行の改編であってはならず、国民が理解しやすく安心して受け入れ得る範囲の改編案でなければならない。 防衛庁時代から半世紀にわたって続いてきた体制(組織の風土とも言える)を逐次に変え漸進的に改革を進めることは抵抗が大きく難しい。それなら一気に政治主導で改編すると言っても、3年間に大臣(長官)が6人も代わることがある防衛省(庁)では、大臣が代われば改革も退行してしまう恐れがある。 筆者は、背広組と制服組を混合させて政治主導により一元的に防衛力を整備し、統合的に部隊を運用する体制を確立しようとする中間報告の挑戦を評価している。 しかし、一方では制服組の現場の声が機能別3部門の中に埋没してしまうのではないか。制服組のトップたる統合幕僚長が一局長並みとして位置づけられる心配もある。問題は人事権である。組織の上で背広組と制服組を混合させても、高位制服組の人事を背広組が左右できるのであれば混合にはならないのではないか。両者混合の「昇任選考委員会」を設置して、大臣に対して両者が同等に人事上の進言をできるようにすべきではないのか。 各幕僚監部を縮小してその任務を隊務運営機能のみに限定すれば統率や部隊の士気にかかわるのではないか。数字の上では全体最適化となっても3自衛隊の部隊が戦力を発揮できる部分最適化の上に築かれた全体最適化でなければ意味がない。1970年代、カナダでは統合を重視するあまり陸海空軍を一つにして見事に失敗した例もある。 制服組の国会出席や自衛官の総理副官の設置など、望ましい点も見えており、改革の行方を注視したい。(しかた としゆき=帝京大学教授) 20/07/01 05:46 【正論】志方俊之 防衛改革案で見えてきたもの ![]() |
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| 産経新聞を読みましょう |
朝日新聞を読んでいると馬鹿になりますよ。
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