【主張】厚生年金記録ミス 全件照合を早期に講じよ

 社会保険庁が、厚生年金記録のサンプル調査結果を発表した。約4億件の手書き台帳記録から抽出した約2万件をコンピューターで管理している記録と照合したところ、内容の一致しない記録が1・4%見つかった。

 年金額の算定基準となる標準報酬月額(月収)や加入期間が間違っていたり、手書き台帳の記録がコンピューターに未入力だった事例もあった。調査結果から単純推計すると全体では560万件だ。社保庁のずさんな仕事ぶりには、改めて強い憤りを覚える。

 深刻なのは、件数の多さもさることながら、宙に浮いた約5000万件の記録とは別問題ということだ。今回のミスは、社保庁が「持ち主が特定できており、問題はない」と説明してきた基礎年金番号に統合済みの記録の中でも見つかった。しかも、これほど高い確率でのミスでは、統合済み記録も信頼するわけにはいかない。

 厚生年金については、標準報酬月額が改竄されていたケースも確認されている。このままでは年金不信は取り返しがつかなくなる。政府は、統合済み記録についても早急に総点検すべきである。

 政府は、国民年金を含めたすべての手書き台帳の検索システムを平成21年度に整備することを決めた。記録問題の全容解明には台帳との照合は不可欠で一歩前進といえよう。だが、当面の照合は申し出があった人に限るという。記録ミスの多くに支給漏れの恐れがあることを考えれば、あまりに消極的な姿勢と言わざるを得ない。

 国民が自分でミスを見つけようと思っても、「ねんきん特別便」には標準報酬月額は記載されていない。しかも厚生年金の保険料計算は複雑だ。標準報酬月額を知らされても誤りがあるかどうか調べることは難しい。申し出が少なければ、せっかくの検索システムも宝の持ち腐れに終わる。

 全件照合は最大3300億円かかるというが、政府全体で予算を捻出して迅速な対策を講じるべきだ。そもそもミスは社保庁が招いた。社保庁が主体的に記録訂正にあたらなくてはならない。

 ただ、今回、破損や汚れで判読できない手書き台帳があることも確認された。年金記録問題は社保庁だけで全面解決できるわけでもない。国民の側も「自分の年金は自分で守る」との意識を持ち、どんな小さな手掛かりでも社保庁に伝えることが重要である。

20/06/30 05:26

【主張】厚生年金記録ミス 全件照合を早期に講じよ

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