歴史教育に偏り、大久保利通を知らない子供達

 よく知られたことだが、大久保利通と西郷隆盛は鹿児島の加治屋町という所で同じ教育を受けて育った。2人で協力しながら薩摩藩の実権を握って幕府を倒し、明治の新政府をつくった。ともに甲乙つけがたいような維新の立役者である。

▼ だが歴史上の存在感や現代人の人気では圧倒的に西郷の方が上だ。大久保が新政府の中心として廃藩置県や地租改正などの大改革に当たったのに対し、西郷は士族の不満を背景に西南戦争を起こし、大久保の政府軍に敗れる。その悲劇性のためなのかもしれない。

▼ 政治家としては超一流といえる大久保も西郷の陰にかくれ脇役に回った形だ。気の毒な気もするが、その大久保の「不運」をさらに浮き彫りにしそうなのが国立教育政策研究所が行った社会科の学力テストの結果である。歴史上の主な人物の中で「知名度」が最下位だったというのだ。

▼ 小学6年生に42人の人物の功績を選ばせたところ1位は邪馬台国の卑弥呼で99%の正答率だった。大久保は23・5%しか答えられなかった。もっとも伊藤博文、木戸孝允、大隈重信ら明治の元勲たちも軒並み低く、西郷ですら50%で33位である。

▼ 代わりに野口英世、福沢諭吉、紫式部ら「文化人」の知名度は高い。為政者でも織田信長や聖徳太子らはよく知られている。研究所は「明治の元勲は功績がよく似ていて」と分析しているが、やはり歴史教育にどこか偏りがあるとせざるをえない。

▼ はて当の大久保は「なぜだ」と怒っているのか「そんなもんだ」と達観しているのか。ちなみに大久保の次男は大正から昭和初期の大政治家、牧野伸顕、その女婿が戦後の宰相、吉田茂、さらにその孫が麻生太郎前自民党幹事長だ。子孫の方は結構目立っているようで。

20/06/29 05:38

【産経抄】6月29日

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【2008/06/29 05:00】 | 教育 学問 | トラックバック(0) | コメント(0)
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