支那産ウナギを国産と偽る

 米国の一ドル札の裏には、「目」から、光が出ている図柄がある。神がいつも見ている、という意味だそうだ。キリスト教が経済と今も強く結びついていることを示している。

▼ そもそも西欧に近代資本主義をもたらしたのは、腐敗したカトリック教会への抗議から生まれた、プロテスタンティズムの倫理だった。マックス・ウェーバーは、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』のなかでこう説いた。長年、ウェーバーに取り組んできた作家の長部日出雄氏は、資本主義のルーツは日本にもあったと主張する。

▼ たとえば奈良時代の僧、行基が地獄極楽の存在を日本の庶民に伝えたことに注目する。善行には善果があり、悪行には悪果がある。その思想はやがて、来世での仏の救済を信じて、現世において不当な利益を得るのを潔しとしない宗教倫理、経済倫理に発展していく(『仏教と資本主義』新潮新書)。

▼ またもや食品偽装が発覚した。産地の違う肉を岐阜のブランド牛「飛騨牛」、中国産ウナギを「国産」と偽っていた。口止め料として1000万円、責任をかぶることの見返りに1億円なんて話も飛び出している。

▼ 一連の事件と共通しているのは、ばれたからしぶしぶ事実を認めた経営者の態度だ。それほど悪いことをしたという自覚はないようだ。まして、地獄へ堕ちる恐怖などみじんも感じられない。一人一人のモラル欠如の背景には、日本の資本主義を支えてきた精神の変質があるのではないか。

▼ 一方で宗教学者の山折哲雄氏は、事件の多くが内部告発で明るみに出たことに、日本固有の倫理の危機を感じ取っている。もともと、食は宗教と深いかかわりがある。宗教界がどう受け止めているのか、真摯な声が聞きたい。

20/06/27 05:02

【産経抄】6月27日

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【2008/06/27 05:00】 | 経済 産業 資源 交通 | トラックバック(0) | コメント(0)
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