【主張】元長官詐欺事件 総連の闇も徹底解明せよ

 朝鮮総連中央本部をめぐる詐欺事件で、東京地検特捜部は元公安調査庁長官、緒方重威容疑者らが4億8400万円を総連から詐取したとして再逮捕し、新たな捜査段階に入った。

 この事件は当初、中央本部の土地・建物をめぐる仮装売買事件として発覚した。総連側が整理回収機構(RCC)の差し押さえを免れるために、代金未納のまま、緒方容疑者のペーパーカンパニーに移転登記を行ったという疑惑だった。東京地検も当初は、この容疑(電磁的公正証書原本不実記録)で緒方容疑者宅などを捜索した。

 しかし、先月末、緒方容疑者が逮捕されたときの容疑は、代金を支払う意思がないのに、それがあるかのように見せかけ、中央本部の土地・建物をだまし取ったという詐欺だった。朝鮮総連は詐欺の被害者になっていた。

 公安調査庁は朝鮮総連などを監視する重要な機関で、緒方容疑者は最高検公安部長や広島高検検事長なども務めた検察エリートである。検察側が「身内に甘い」という批判を受けないために、詐欺容疑での緒方容疑者の逮捕を急いだことは十分に考えられる。

 だが、総連側は「だまされたという認識はない」と記者会見で述べ、「刑事訴追を積極的に希望しない」との確認書を緒方容疑者側と交わしている。このため、公判で紛糾することも予想される。

 検察の描く構図が詐欺事件に変わったとはいえ、仮装売買の疑惑が消えたわけではない。この取引で総連が果たした役割もきちんと解明すべきだ。

 朝鮮総連は北朝鮮の統一戦線部に直結する組織として、さまざまな工作活動を行ってきた。原敕晁(ただあき)さん拉致事件には、総連傘下の在日本朝鮮大阪府商工会幹部らが関与し、昭和48年に失踪(しっそう)した主婦の2児が拉致された事件は、総連幹部が設立した都内の貿易会社が舞台になっていた。

 朝銀信用組合の破綻(はたん)の原因となった不正融資事件で、総連中央本部の元財政局長が警視庁に逮捕されたが、朝銀から総連に還流した巨額のカネが、どれだけ北に流れ、何に使われたかなど詳細は不明だ。

 国民が本当に知りたいのは、こうした疑惑だ。検察、警察当局は、朝鮮総連の“闇”に迫ってもらいたい。

(19/07/22 05:32)

【主張】元長官詐欺事件 総連の闇も徹底解明せよ

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