【主張】麻原弁護人不処分 裁判への不信増幅させた
【主張】麻原弁護人不処分 裁判への不信増幅させた

 オウム真理教の麻原彰晃死刑囚=本名・松本智津夫=の控訴審で、弁護側が期限までに控訴趣意書を提出しなかった問題は、日本弁護士連合会(日弁連)と裁判所との全面対決の様相を呈してきた。

 その原因を招いた責任は、弁護側にある。控訴趣意書の未提出で、極めて重大な刑事裁判の控訴審が全く開かれないまま、裁判が終結した。裁判史上前代未聞の異常事態だった。

 これに対し、東京高裁が2人の弁護士に、処分を求める「処置請求」を日弁連に申し入れたのは当然で、日弁連の判断が注目されていた。

 出した結論は処置請求が遅すぎて不適法であり、処分しないという、“門前払い”の決定だった。中身には全く踏み込んでいない。これでは、国民の裁判への不信を増幅させるだけではないか。日弁連は、この問題を真正面から受け止め、国民にわかりやすく説明する義務があった。

 麻原死刑囚は、地下鉄サリン事件や松本サリン事件、坂本堤弁護士一家殺害事件など13事件で、殺人罪などに問われ、1審の東京地裁で死刑判決を受け、審理の場が2審の東京高裁に移った。事案の内容から、当然、2審も死刑判決が確実視されていた。

 ところが、弁護側が「麻原死刑囚と意思疎通ができない」などを理由に、趣意書を高裁に提出せず、2審の審理は一度も開かれないまま、同死刑囚の死刑が確定した。

 2弁護士の取った行為は、死刑の引き延ばしを狙った、訴訟遅延戦術であったことは、明らかだ。審理の迅速化は、裁判の大原則である。

 2年後には、一般の国民が重要な刑事裁判に参加する「裁判員制度」が開始される。より裁判のスピード審理が求められる。これを前に、弁護士による裁判を意図的に遅らせるような妨害行為は、断じて許されない。このような事態が続けば、裁判員制度そのものが立ち行かなくなる。

 東京高裁が今度は、2弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求するという。弁護士会には、ぜひ国民が納得できる判断を示してもらいたい。刑事裁判は、真相解明のため裁判官、検察官、弁護士の法曹三者が協力しあい、審理を進めていくことが、ひいては裁判員制度を軌道に乗せることになる。

(2007/02/17 05:03)

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