【主張】近未来通信 食い物にされた“自由化”
【主張】近未来通信 食い物にされた“自由化”

2006-12-03

 インターネット技術を利用したIP電話事業を手がける「近未来通信」の経営が事実上破綻(はたん)し、投資家に約束の配当金を払えぬまま、経営陣が雲隠れするという異常な事態となっている。

 総務省の立ち入り調査結果などによると、電話事業による同社の利益はほとんどなく、もっぱら投資家から資金を集めては、他の投資家への配当に回すだけという実態が明らかになっている。これでは“マルチ商法”的な詐欺行為と指弾されてもやむを得まい。

 21年前の通信の自由化で、多くのベンチャー企業が電話事業に参入し、熾烈(しれつ)な値下げ競争の結果、通信料金は大幅に低下した。近未来通信も、こうした時代の波に乗って平成9年に創業した企業のひとつである。

 ユニークだったのは、一般回線とインターネット網をつなぐ「中継局」の設備(サーバー)オーナーとして投資家を募り、通信事業収益から投資額に応じて毎月還元するというビジネスモデルであったことだ。

 出資金は1口約1100万円と高額だが、最大で月80万円程度を還元できるとの言葉に誘われ、なけなしの老後資金をつぎ込んだ高齢者も少なくなかった。関係者によると、同社は少なくとも3000人から総額400億円もの出資金を集めたとされている。

 IP電話という時代の先端事業とはいえ、事業モデルの危険性を見抜けなかった点では投資した側にも責任がなかったとはいえない。近未来通信の経営破綻が最終的に刑事事件へと進むか否かは、今後の捜査当局の判断に委ねるほかないが、気になるのは、ライフラインのひとつである電話サービスが経営実態が曖昧(あいまい)な事業者によっても行われているという実態である。

 昨年10月には「CHOKKA」名の格安固定電話サービスを売り物にしてきた「平成電電」が民事再生法の適用を申請して事実上倒産している。

 通信の自由化は、誰でも基本的に届け出ひとつで電気通信事業を営むことを可能にした。たしかに規制の緩和は経済の活性化に重要な意味を持つ。しかし、その分事業者もまた、消費者・利用者の厳しい目にさらされていることを忘れてはならない。自由化を食い物にするだけの事業者は、即刻市場から退去してもらうほかない。

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【2006/12/03 05:00】 | 経済 産業 資源 交通 | トラックバック(0) | コメント(0)
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