フランス暴動 報道の自由と悪影響
産経抄

 「フランス暴動」を報じる仏メディアは、燃やされた車の数を報じるのをやめた。現場にテレビクルーを送ることも控えているという。確かに、振り上げたコブシは、周りに目があると引っ込みがつかない。それがテレビカメラともなれば、背後にある何百万人の目を感じて興奮の自己暗示が暴走を始める。

▼ イスラム系移民がもつ「異邦人」意識が、パリ郊外で爆発してしまった。暴動情報は連鎖を招きやすい。在仏イスラム団体は「無差別攻撃はイスラムの教えに反する」とのファトワ(宗教見解)を出した。だが、目覚めた獣性は収まらない。仏政府はたまらず非常事態を宣言した。

▼ センセーショナリズムはときに社会を崩壊に導く危険がある。だからメディアは、騒擾(そうじょう)事件を伝える際のジレンマからは逃れられない。暴動だけではない。かつての米大統領選で、ドール共和党候補が壇上から転落した写真を、米紙が一面に掲載したことがあった。

▼ 米紙の派手な扱いに、「共和党嫌いの意図的な掲載だ」との抗議が起きた。ドール氏がコケたとき、反射的にシャッターを切ったカメラマンもいれば、助けようとしたカメラマンもいた。どこにいたかにもよるが、シャッターを切った当事者を批判することはできない。

▼ フランス暴動のテレビ自粛も、ドール転落の写真掲載も、報道の自由の下での独自判断だった。重要なのはこの点だ。やや性格を異にするが、日本での論議は、事件の被害者を実名で発表するか否かの規制問題である。

▼ 公表の判断を警察に委ねる方向で、来月閣議決定される。しかし、匿名発表は時として情報操作につながりかねない。それだけに、報道機関は事実へ真摯(しんし)に対峙(たいじ)し、自らに厳しくあらねばと思う。

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【2005/11/10 05:00】 | 報道 | トラックバック(0) | コメント(1)
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コメント
私は、フランス在住なのですが、ブログ本文にある 「フランス暴動」を報じる仏メディアは、燃やされた車の数を報じるのをやめた。現場にテレビクルーを送ることも控えているという。」
というのは、おかしいです。
現に本日のお昼のニュースでも、しっかり、騒擾事件について、報道して、昨夜燃やされた車の数も報道しておりましたよ。
【2005/11/10 23:38】 URL | Lemon #SMThlAj2[ 編集]
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