■【主張】牛肉輸入再開 もう許されぬ政府の怠慢
日米間で政治問題化している米国産牛肉の輸入禁止が、早ければ年内にも解除される見通しとなった。内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会が、条件付きながら輸入再開を容認する答申案をまとめたことによる。 日米関係の摩擦が解消されることは歓迎すべきことではあるが、ことは食の安全にかかわる問題である。輸入再開に当たっては、先の政府間合意にそった輸入条件の完全順守を重ねて米側に迫るとともに、政府には国内消費者の不安な心理を踏まえた十分な説明責任を果たすよう求めたい。 答申案は、米国産牛肉と国産牛肉のリスク比較は「科学的には困難」とする一方、「(安全性の)リスクの差は非常に小さい」と結論付けている。消費者の目線からは煮え切らない印象をぬぐえないが、どんな食品もリスクゼロはあり得ない。専門家集団の評価としては、これがギリギリの結論ともいえるだろう。 ただこのリスク評価には、いくつかの前提条件がついている。 最大の条件は、「生後二十カ月以下の若い牛」で、「脳や脊髄(せきずい)などBSE(牛海綿状脳症)の病原体が集積しやすい危険部位を完全除去」することを米側が厳密に履行することである。この条件が守られない場合は、「一旦(いつたん)輸入を停止することも必要」と厳しく注文を付けている。 日米間には、もともと月齢の把握・認定の方式や危険部位除去の確認方法で違いがあるほか、リスク評価の作業でも、その基礎となる米国側の実証データ不足がしばしば指摘されてきた。これが問題を長引かせ、調査会の結論を遅らせる一因ともなった。 しかも農水、厚生労働両省のこれまでの対応は、BSE問題に関する消費者の不安に対し、食品安全委にその説明責任を“丸投げ”してきた。これは怠慢と言わざるを得ない。 それだけに政府は、対象となる米国の食肉加工施設に独自の立ち入り調査を行うなど、米側の条件順守に万全を期す必要がある。また、消費者の判断材料となるよう、スーパーやレストランなどでは原産地表示を厳密に義務付けることも不可欠だ。今後本格化する輸入再開に向けては、今度こそ政府としての責任ある対応が求められる。 テーマ:産經新聞を読みましょう - ジャンル:ニュース ![]() |
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