【主張】タイクーデター 早急に民主政治の復活を
【主張】タイクーデター 早急に民主政治の復活を

 もはやクーデターは過去のものと思われていたタイで、タクシン首相が国連総会に出席するため、国を留守にした最中、軍部が15年ぶりにクーデターを起こした。軍と警察で構成される「民主改革評議会」が全権を掌握し、首相は事実上、亡命状態となった。

 これまでのところ、流血の事態は起きていない。首都バンコクでは戦車から身を乗り出した兵士に市民が花をささげたり、記念写真を撮ったりする光景が繰り広げられた。84%の市民がクーデターに賛成しているとの世論調査結果もある。英字紙ネーションなどはクーデターを「必要悪」と論じた。

 軍のクーデターを幾たびも経験し、辛酸をなめてきたはずのタイ国民の多くが、なぜ、今回のクーデターを受け入れているのか。その背景には、過去5年にわたり国政を担ってきたタクシン政権の問題がある。

 1997年にタイ憲政史上で初めて国民の手によって作られた新憲法をうけ、タクシン氏率いるタイ愛国党は2001年、さらに05年の総選挙で圧勝した。実業界での経験を生かして経済を活性化させ、地方の農村を中心とする貧困層に向けた格安医療政策が熱い支持を集めたのは事実だ。

 半面、強権的な政治手法や今年1月に発覚した首相一族による不正蓄財疑惑は中間層の不満を爆発させた。下院を解散して総選挙に打って出たものの、野党の総ボイコットで無効選挙となり、泥沼の政治危機を招いた。多くの懸案がたなざらしとなり、その中には日タイの経済連携協定(EPA)も含まれる。

 「不信や腐敗疑惑、権力乱用で政治は多くの困難を抱え、国民に不和が広がっている。評議会が行政権限を握る必要があった」とするタイ軍部の声明が一定の説得力をもつゆえんだ。

 そうではあるものの、政治の安定度で「東南アジアの優等生」といわれたタイの対外イメージ低下は不可避だ。自動車や電機などを中心に1200社を超える企業が進出している日本としても無関心でいられない。

 評議会は2週間以内に暫定首相を任命し、1年かけて新憲法を起草したうえで総選挙を行い、文民政権に移行すると表明した。一日も早い民主政治の復活を期待したい。

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【2006/09/23 05:00】 | 政治 行政 立法 | トラックバック(0) | コメント(0)
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